出そうかどうしようか迷ってたけど
出すぜ
いい加減ドタマに来てる
前歯三本に、右手の拳を持って行かれた。それが、彼のカツアゲの代償。いや、正確に言えば自分のカツアゲの罪を、他人になすりつけた、その報い、である。
状況を話している間中、イチは震えていた。タバコに火を点けることすらできないほどに。ガタガタいっているそのライターを取り上げ、自分の口で火を点けたタバコをイチの口に吸わせてやり、テツは尋ねた。
「何人だ?」
部屋の中に何人いたのかは分からない。暗くて、タバコの煙がもうもうと立ちこめていた。ただ、俺をやったのは二人だ。そんなふうなことを、イチはいった。最後の方は嗚咽がこみ上げてきて、なんだか分からないノイズになっていた。
「まあ、気にするな。今日はゆっくり休め」
ベッドに寝ているイチの左手首のあたりをギュッと握り、その後、ポンポン、と車のクラクションでお礼をするようなリズムで叩いた後、テツはこう言った。
「心配するな、それだけやったんなら、やつらも満足しているさ」
俺は、その言葉を聞いて安心した。
だが、病院を出て、一度背伸びをして、ふにゃあと猫が甘えるような声を出して(どう表現していいか分からない、とにかく、人が安心しきって伸びをするときの、あの声だ)テツはこう言った。
「行くぞ、奴らがいるうちに」
テツは、その前に腹が減ったから飯を食べに行く、準備をしたらもう一度ここに、と言った。
「1時間後だ」
40分ほど立った後、まだはやいかなと思いつついってみると、テツはそこに待っていた。ごく当たり前に挨拶をするように、タバコを持っているその手を振る。
「ところで、お前、エモノ持ってるか?」
「……」
「いいか、あいつらは普通じゃない」
「……そんなもの持って行ったら、死人が出るぞ」
俺は手にしたバールを眺め、しばらくは何も言えず、じっとしていた。突っ立ていた。2秒間ほど。
状況を話している間中、イチは震えていた。タバコに火を点けることすらできないほどに。ガタガタいっているそのライターを取り上げ、自分の口で火を点けたタバコをイチの口に吸わせてやり、テツは尋ねた。
「何人だ?」
部屋の中に何人いたのかは分からない。暗くて、タバコの煙がもうもうと立ちこめていた。ただ、俺をやったのは二人だ。そんなふうなことを、イチはいった。最後の方は嗚咽がこみ上げてきて、なんだか分からないノイズになっていた。
「まあ、気にするな。今日はゆっくり休め」
ベッドに寝ているイチの左手首のあたりをギュッと握り、その後、ポンポン、と車のクラクションでお礼をするようなリズムで叩いた後、テツはこう言った。
「心配するな、それだけやったんなら、やつらも満足しているさ」
俺は、その言葉を聞いて安心した。
だが、病院を出て、一度背伸びをして、ふにゃあと猫が甘えるような声を出して(どう表現していいか分からない、とにかく、人が安心しきって伸びをするときの、あの声だ)テツはこう言った。
「行くぞ、奴らがいるうちに」
テツは、その前に腹が減ったから飯を食べに行く、準備をしたらもう一度ここに、と言った。
「1時間後だ」
40分ほど立った後、まだはやいかなと思いつついってみると、テツはそこに待っていた。ごく当たり前に挨拶をするように、タバコを持っているその手を振る。
「ところで、お前、エモノ持ってるか?」
「……」
「いいか、あいつらは普通じゃない」
「……そんなもの持って行ったら、死人が出るぞ」
俺は手にしたバールを眺め、しばらくは何も言えず、じっとしていた。突っ立ていた。2秒間ほど。
偽善者1号『黒旋風のテツ』より
おうよ
オイラ聞きたいことあるんだが
いいかな?
うん、聞く人によっては、ひどいこと言うから、覚悟してな
そこの
やたらと連帯を否定する個人の
みなさんの中のあなた
もしかして「自分だけ」の権利を守りたいからそんなことを言ってるんじゃないよね
自分だけを守りたいから
人の魂から繰り出される檄文を
封殺しようとする
そんなことないよね
そういうの、なんて言うんだろう、言葉が思いつかないや
でもそんな人いないよね
たかがブログの世界で
テツは立ちすくむ俺に差し出した。
「催涙スプレーだ。アネキのとこから持ってきた」
テツの姉はコザの街のスナックにで勤めをしていた。テツはその時、はにかんだように笑ったが、俺は笑えなかった。
俺はいつでも、その後のことを考えていたのである。
「催涙スプレーだ。アネキのとこから持ってきた」
テツの姉はコザの街のスナックにで勤めをしていた。テツはその時、はにかんだように笑ったが、俺は笑えなかった。
俺はいつでも、その後のことを考えていたのである。
偽善者1号『黒旋風のテツ』より
もちろんあたしは
リアルでは言いたいことすら言えないような
超がつくほどのへたれだから
このお話は全部虚構だよん
なんか勘違いして怒ったりしないでね
イチは喧嘩の時、頼りになる男だった。彼のおごりで飲みに行ったこともある。だが、俺たちは誰一人、彼の無念を口にすることができなかった。
「こいつが悪いことをしたから」
俺たちは、その言葉とともに得体の知れぬ何かを飲み込んだ。あまりにも苦く、腹が千切れるほどのビールの味だった。
「こいつが悪いことをしたから」
俺たちは、その言葉とともに得体の知れぬ何かを飲み込んだ。あまりにも苦く、腹が千切れるほどのビールの味だった。
偽善者1号『黒旋風のテツ』より
あたしは
満州で憲兵をしていてシベリアから帰ってきた人に育てられた
そんな娘をしっている
(他の人の記憶の上、また聞きだから、そんな境遇の人がいるわけないとか言わないでね)
彼女「も」戦争を憎んでいる
あたしは彼女が母親になって
「従軍慰安婦」の真相を自分の子どもたちに「知られたくない」と考える
その理由「も」わかる
だから、彼女の父親や彼女たちが
くだらないテレビ番組に向かうのは必然だと
あたしはおもうのだ
真実を追究するサヨクの「表現」を「聞きたくない」と拒否することもまた当然だと……
どうか
言葉の国のみなさんには
この方々に民主主義を浸透させるのはどんな言葉なのか
今一度考え直してみていただきたい
第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
この三つのお札が並んでいることの意味
してはいけないことと、保障されていること
一度考えて
人が鬼になるのではない
人間集団に取り憑き、人を取り囲む思想が
人に鬼の面を被せるのである
はやいとこそこから抜け出さないと
このことを胸に刻んで
教えるとは希望を語ること 学ぶとは誠実を胸に刻むこと
ルイ・アラゴン『ストラスブール大学の詩』より
そして
語りかけるときには、ありったけの思いやりと、覚悟を
限りなく絶望に近い希望に向かって
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