レジームチェンジ反対

2007年05月03日

主権をめぐる攻防

第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。


DSCN0098.jpg ベアテ・シロタ・ゴードン
「私はずいぶん、10年くらい日本にいたので、自分の目で見たんですよ。女性が圧迫されて大変だったということを、よく知ってたんですよね。だから私は特別に女性のために何かしたかった、そういう感じだったんですよね。子どものときにね、好きじゃない人と、むりに結婚するということは、大変だと思ったんです。だからそのこと、ずいぶん、多分私の頭に入ってたんですよ。だから今度女性の権利を書くときにそれを、案に、、一番最初のことは結婚のことなんです。私が書いたのは(笑)だから、多分、それ、私の頭にずっとあったんですよ。」
『日本国憲法 誕生』NHK


「第18条 家庭は、人類社会の基礎であり、その伝統はよきにつけ悪しきにつけ、国全体に浸透する。それ故、婚姻と家庭とは法の保護を受ける。婚姻と家庭とは、両性が法律的にも社会的にも平等であることは当然である。このような考えに基礎をおき、親の強制ではなく相互の合意にもとづき、かつ男性の支配ではなく両性の協力にもとづくべきことをここに定める。これらの原理に反する法律は廃止され、それにかわって配偶者の選択、財産権、相続、住居の選択、離婚並びに婚姻及び家庭に関するその他の事項を、個人の尊厳と両性の本質的平等の見地に立って定める法律が制定されるべきである。」
ベアテが作ったGHQ草案 現在wiki先生

GHQの草案と日本政府の翻訳とのすりあわせの会合は、不眠不休で30時間を要したという。そのちょうど半ば、16時間が過ぎ午前2時をまわったころ、日本政府側はベアテの作った婚姻に関する条文をすべて削除するよう要求する。
ベアテはその時、通訳としてこの会合に参加していた。

「(日本政府側は)これは日本の国民に合わない。これは日本の歴史に合わない。、、これは日本の文化に合わない。これは全然ダメですと言ったんです。(むっとした表情)女性の権利について、それ、私とてもびっくりした。だってその反対(の姿勢)の強さはね、本当にちょっと、天皇制のこと話した時と同じ気持ちみたいだったです。」
『日本国憲法 誕生』NHK


その時に、GHQ側、民政局次長のケーディスが、女性の権利についてはベアテも望んでいるので採択してはどうかと日本政府に提案する。

「そしたら、びっくりしました。佐藤さんとみんなが。そして、そしてパスしました。私すごく喜んでhoo〜!て喜びました。でも、私、何も言わなかったんですよ。私がそれを書いたということを、私はもちろん言わなかった。ケーディスさんもそれを言わなかった。言ったのは、心からこれを望んでいるっていう、それで、長く日本にいたので、ずいぶん女性のことを考えていたから通過しましょう。ケーディスさんが、言った、、(微笑み)」
『日本国憲法 誕生』NHK


当時22才のベアテ・ゴードンさん
もしかしたら護憲とフェミニズムの分野では
神にもまつられるほどのお人なのでしょうが
すみません
私、今度のNHKの番組ではじめて知りました
でも
この方の名前があまり行き渡ってない現状は
つまり、私のようなものが存在するというのは
自らの勉強不足を棚に上げて恐縮ですが
やはり、日本社会なんですね
女性の社会的な功績をなかなか認めようとしない
この方はまぎれもなく
今の日本社会に生きるすべての人々の
救い主です
知性豊かで慈愛に満ち、そして強靱な意志を持つ
理想的な「保護者」です
私たちひとりひとりの人権の

もし
彼女が草案づくりにたずさわっていなかったら
あるいは
通訳としてその場にいなかったら
そう思うと
何だか足下が抜けるような
奇妙な感触を覚えずにいられません
それは
戦慄ですらあります

でも
この人が居てくれて良かった
こんな気持ちは最近では少なくなりました
だから、いつまでも感動の余韻に浸っていたいのですが
そうもいかないようです
ちなみに、「親の強制」「男性の支配」の文言は最終草案に採用されたが、日本政府がこれらの部分を削除したと2000年5月2日の参議院憲法調査会で証言している。
現在wiki先生

なるほど、わかりやすい
「どうせ自分たちの意向が通じないのなら
 これまでの罪状もなかったことにしてやる」
日本政府の心性、その現在につながるルーツ
さらに
憲法は国民を保護するものであるという
その「法の保護」という言葉が削られているということに気付く
そう、日本政府は
最初からそのつもりだった

これまでは
ガチガチの護憲派だったけど
改憲を口にしてみる
でも誤解しないでほしい
私のは
条文を変えるのではない
すべての条文の頭にこれを持ってくる
「国民を国家権力の横暴から保護するために」
条文がいちいち長くなったり、据わりが悪くなることもあろうが
書いておかないと忘れる人が出てくるから
自ら忘れようとする人が出てくるから
忘れさせようとするものが出てくるから
そうしたい
「国民を国家権力の横暴から保護するために」
憲法はある
「国民を国家権力の横暴から保護するために」
そこに基づいてすべてのルールが作られるはずなのだ
この日本が民主主義の国であるのなら
それが当たり前であるはずなのに

3月4日から始まったGHQ案を日本語に翻訳する作業でも、ベアテの日本語の能力は、アメリカ側にも日本側にも印象づけられる結果となる。 ベアテは制約が多く意味が深い日本語(「輔弼」など)のニュアンスをアメリカ側に伝え、時々は当時の日本の習慣について説明し日本側の見解を擁護したことで、日本政府の代表にも好感を持たれていた。 そこで女性の権利条項が議題となったとき、「彼女が書いたのならば」「彼女の望みならば」ということで、日本政府代表から通訳として信頼を勝ち得たことによって、草案どおりにパスした、という。 ベアテは民政局の中でも、理想主義と国際人としての感覚を代表する一人であり、ベアテが日本の実情、とりわけ日本女性が置かれてきた実情を理解する人でもあったということを、日本国憲法の公平性を考える上で見過ごすべきではないとする見解は少なくない。
現在wiki先生(赤字書き換えは引用者、草案を彼女が作ったことを日本政府は知らない)

日本政府がベアテの望みだからという理由で矛を収めたのは
ベアテの言い分に納得して
ベアテの願いをくんで
女性の人権を尊重したからではない
これまでの話し合いを通して
このベアテという22才の女性通訳が
誠実で、利発で、相手の胸の裡を読み取ることに長けた
ごまかしのきかない相手だと理解したからだ
「このやたらと頭の切れる通訳を敵に回したらおしまいだ
 ここで頑張ってもしょうがない
 勝ち目はない
 だが
 『法の保護』の文言だけは何としても取り払え」
私は
日本政府の思惑はこうだったのではないかと考える
マッカーサーはこの時点ですでに
この話し合いが不調に終わるようなことになれば
国民投票にかけることを宣言している
「国民投票?そんなことになるくらいなら
 『法の保護』の文言だけでも取り払え」
こんなふうに
日本という国家による
日本国憲法の保障する人権への挑戦は
すでにここからはじまっている

日本国憲法は
国の最高の権威として
「国民」を「国権」より「保護」するものなのだ
時の政府は、すでにこの時点から
その大切な意味合いをなるべく知られないように
苦心惨憺していたようだ
現状を見れば
その目論みは一定の成功を収めたと言わざるを得ない
GHQとの会議の場では泣く泣く取り下げた
軍国主義の亡霊のような意向が
今声高に繰り返される
「日本国憲法が
 日本の国民に合わない、国際社会の常識にそぐわない
 日本の歴史に合わない、国際化の時代にそぐわない
 日本の文化に合わない、国際社会のルールにそぐわない
 日本国憲法は
 押しつけられたものである」
そう、押しつけられた
連合国から日本に押しつけられた
日本国憲法は
国際社会が日本国民を保護するため
アホな日本国政府に
押しつけたもの
日本国民の保護を目的として日本という国に押しつけたもの

以下にベアテの起草したとされる女性と子どもの人権に関する条文を載せる

第19条 妊婦と幼児を持つ母親は国から保護される。必要な場合は、既婚未婚を問わず、国から援助を受けられる。非嫡出子は法的に差別を受けず、法的に認められた嫡出子同様に身体的、知的、社会的に成長することにおいて権利を持つ。

第20条 養子にする場合には、その夫と妻の合意なしで家族にすることはできない。養子になった子どもによって、家族の他の者たちが不利な立場になるような特別扱いをしてはならない。長子の権利は廃止する。

第21条 すべての子供は、生まれた環境にかかわらず均等にチャンスが与えられる。そのために、無料で万人共通の義務教育を、八年制の公立小学校を通じて与えられる。中級、それ以上の教育は、資格に合格した生徒は無料で受けることができる。学用品は無料である。国は才能ある生徒に対して援助することができる。

第24条 公立・私立を問わず、児童には、医療・歯科・眼科の治療を無料で受けられる。成長のために休暇と娯楽および適当な運動の機会が与えられる。

第25条 学齢の児童、並びに子供は、賃金のためにフルタイムの雇用をすることはできない。児童の搾取は、いかなる形であれ、これを禁止する。国際連合ならびに国際労働機関の基準によって、日本は最低賃金を満たさなければならない。
現在wiki先生


ついでに、時代の最先端を行く教育再生会議の有り難い提言も載せておく

「教育再生会議:親向けに「親学」提言 母乳、芸術鑑賞など」
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児

(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない

(3)早寝早起き朝ごはんの励行

(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す

(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施

(6)企業は授乳休憩で母親を守る

(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞

(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施

(9)遊び場確保に道路を一時開放

(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる

(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める

毎日新聞 2007年4月26日 3時00分


私たちは
自らを守るものが、守ってきたものが何なのか
これからの時代に何が必要なのか、何を選んでいくべきなのか
私たちと国との関係がどうあるべきなのか
一度じっくり考えてみる必要がある

posted by gon at 10:28| Comment(8) | TrackBack(26) | 壊憲手続き簡略化法案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます!
私も放送見ました。
録画などはしなかったので、この記事はありがたいです!
今日の日に、本当に相応しいです。
これから書く私の日記にリンク貼ります。
Posted by abi.abi at 2007年05月03日 18:36
abi.abiさま
こんばんは

記事の紹介有り難うございました。今日NHKの集金が来てたので、先日の番組「日本国憲法 誕生」は良かったと伝えました。報道に文句を付けることも多いのですが、いつもこういう形で声を届けています。集金の方にはうるさいヤツだなと思われているでしょうね(笑)。

「国民投票法案を語る」あらため「レジームチェンジに反対します」への賛同メッセージ有り難うございました。

これからもよろしくお願いします。
Posted by gon at 2007年05月04日 20:51
そいつは帽子だ!さま、はじめまして。密かに愛読してました。

ところで、ベアテ・シロタ・ゴードンさんというと、手元のメモに残している言葉があります。
以下、はじめましてのご挨拶にかえて。

「自分の持っているものより素晴らしいものをさし上げるとき、
押しつけといいますか?
いいえ、それはプレゼントというのです。」
Posted by 吉田万三HPご案内係 at 2007年05月05日 19:07
私もみました。リンクを張っています。
ベアテさんは、護憲派の間では名が通っていますが、若い頃の写真はNHKのこの番組と、こちらのブログで見ました。
この写真はコピーさせていただきます。
この写真一枚見ても、知的でお美しい方ですね。
Posted by JUNSKY at 2007年05月05日 23:03
吉田万三HPご案内係さま
こんばんは

素晴らしい言葉ですね。ベアテさんにますます惚れました。

どんなに素敵な贈り物でも、最初から「押し付け」られたと思っている側にとってはお荷物でしかないのでしょうね。子どもを虐待する親の心性ですね。しっかりと守ってきたものが言うのならまだしも、最初から疎ましく思っている連中が言うのですから、盗っ人猛々しいとはこのことです。政治家が憲法を敵視するというのは、公僕が主権者である国民に反旗を翻すことなのに。で、主権者である国民は、その言に煽られて素敵なプレゼントを開けても見ないで突き返すのですかね。アホですね。

>密かに愛読してました。

カミングアウト有り難うございます(笑)。こちらは記事もみなさまのコメントへのレスもどっちへ転ぶかわからないのでヒヤヒヤもんでしょう。大暴走するときもありますが、心を広く持って見守ってやってください。
これからもよろしくお願いします。
Posted by gon at 2007年05月06日 20:00
JUNSKYさま
こんばんは

>知的でお美しい方

本当にそうですよね。実はどの写真を使うのか迷ったのですよ。というのも番組でインタビューを受けていたご様子、80才をまわった今も十分に魅力的だったので。特に笑顔が素敵でした。ご自分のなされたことに対する自信のあらわれ。年を取るのなら、ああいう笑顔を身につけたいものです。
Posted by gon at 2007年05月06日 20:39
こんにちは。ベアテさんのインタビュー部分を一部お借りしました。
Posted by メロディ at 2007年05月07日 01:27
メロディさま
こんばんは

記事の紹介有り難うございます。この方の功績は女性のみならず全ての日本人、特に若い人たちに知ってもらうべきだと思います。
今自分がここにあることを感謝できる人間なら、必ずそのプレゼントのかけがえのなさを理解することでしょう。
Posted by gon at 2007年05月07日 22:21
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