第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
憲法には必要最低限のことしか書かれていない
「人権の尊重」
「平和の希求」
「みんなで話し合い、協力し合って上の二つを守り、
そして上の二つがすべてのものに行き渡るよう努力する」
人がみなその良心に基づいて行動するのならば
本当は「よきにはからえ」の一言で足りるかもしれない
憲法は
本音では我々を突き放したがっている
その求める理想を体現した個人として
みながその申し合わせに誠実に向き合い、厳格に従っていく社会として
自立することを望んでいる
その憲法から
「よきにはからえ」と自立することを許されたものがいる
条文の三つをその心に留め
人々の行いがその教えに沿うものか判断する
誇り高き崇高な使命を帯びたものたち
裁判官だ
「人権」と「平和」という
憲法より預けられた二つ言葉を胸に
正邪の天秤をその良心に託され
「全人類の共和」の
バランスを乱すものを裁く
孤高の断罪者
その職責は重く
ときには国家すら裁断しなければならない
ただひとり強大な権力と対峙する
そのおそろしさは想像を絶する
良心の危機である
だが、決して飲まれない
闇に取り込まれることなく踏みとどまる精神
まさにそのとき、救いの手をさしのべるのが
憲法
実際にほかからの脅威により良心が阻害されると感じた裁判官は
自らの判断が「人権」と「平和」に基づいており
そしてそれをまもり、人々にほどこしていく
そのためだけになされたのだということを
国民の前に明らかにするのである
そうして主権者である国民の支持をもって
巨大な力に立ち向かい、裁くのである
国民は憲法の名の下にその判決を後押しするのである
みんなの心をひとつにして
もし裁判官が権力にひれ伏し
その節を曲げるようなことがあれば
この社会にそのようなことが散見されるようになれば
それは主権者であるわれわれ国民の心の中から
憲法が遠のいているということにほかならない
われわれの心が憲法を見失う
法治国家に生きるものにとってそれは
天の教えに背くことに等しい
我々の不安の原因はここにある
我々は憲法に書かれてある正しさを忘れている
だから子どもに
「人殺しの何がいけないのか」
「なんで戦争がいけないのか」
「いじめの何がいけないのか」
と問われて口ごもってしまう
憲法に記してあると答えればすむことなのに
何か自分でえらく上等のことが言える気になっている
思いを詰めたこともないのにわかったふりをしている
それを問い掛けることは人間にとって長く果てしない困難であるから
子どもたちが、そしてその子どもが育ったところの大人たちが道に迷わないように
わざわざ憲法に書いてあるのに
自分で答えを出した気になっている
自立したつもりになっている
我々はもっと自身のことを知らねばならない
日本が何によって安らかに生かされてきたのか
日本に生きる我々の心が今、何の不在に怯えているのか
知らなければならない
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